佐藤芳嗣法律事務所

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オレオレ・振り込め詐欺にご注意

詐欺の手口

東京に住む息子から、田舎に住む80代の母親にある日突然「(息子を装って)オレだけどたった今交通事故を起こした。怖い人の車にぶつけてしまった。保険会社の人に代わるよ」と電話が入った。次に保険会社の事故処理の担当者と名乗る男が電話に出て、狼狽している母親に「先方は今日中に車を買い替えれば示談にすると言ってくれている。すぐに500万円を支払って下さい。被害者の男性に代わりますから」と言った。次に車の所有者と名乗る男が電話に出て、「お宅の息子は大変なことをしてくれた。示談にしてやるから○○銀行の○○口座に大至急振り込んでくれよ」。突然の電話に狼狽しパニックに陥った母親は、すぐに銀行に行き500万円の定期を解約し指定された銀行口座に振り込んでしまった。

騙された後

送金後1時間ほどして落ち着いてきた母親は、それでもと思い東京の息子の自宅に電話した。専業主婦の息子の妻が電話に出たので母親は、「示談金500万円はちゃんと振り込んだよ」と伝えた。すると妻は、「おばあちゃん何のこと」と聞き返した。母親が、「(息子の)交通事故のだよ」と言うので妻は夫の会社にすぐに電話した。すると夫が電話に出て、「オレは交通事故なんか起こしていない。会社にいた。お袋は騙されたんだ。すぐに知り合いの弁護士に相談する」と言って電話を切った。息子が知り合いの弁護士に電話したところ、その弁護士は「送金を依頼した銀行にすぐに電話して送金を今からストップできるか聞くようにしなさい。今から送金を止められるならすぐに止めなさい。警察にも至急被害届を出して、送金先の口座を知らせなさい」とアドバイスした。しかし、母親が送金を依頼した銀行は、「既に送金した後なのでいまさら送金を止められない」と回答した。警察が調べてみると、500万円が振り込まれた銀行口座からは送金後直ちに500万円が下ろされていた。送金先の銀行口座は、詐欺グループが事情を知らない他人から借りた口座であった。口座の名義人は詐欺グループの誰1人実名を知らなかった。

多様な手口と新たな手口

当初のオレオレ犯人は、電話に出るのは1人が多かった。しかし、最近では、交通事故や不倫の被害者と名乗る人、保険会社の事故係、事故現場に駆けつけたと称する警察官や弁護士など様々な登場人物が電話に出ます。そして、交通事故、医療事故、不倫、裁判などを装い、事情を知らない独居老人や留守番の主婦に次々と非日常的な事故を告げ、治療費、示談金、解決金、慰謝料、保釈金、裁判費用、弁護士費用その他様々な名目で銀行口座に送金させています。この2年ほど月に1000件を超える被害届も珍しくなく、平成16年1月から8月の被害届は100億円を超え、8月は実に1ヶ月だけで23憶円を超える被害届が出ています。
東京に住む71歳の医師は、勤務医の息子が医療事故を起こしたとの電話を受け2500万円もの大金を次々に騙し取られました。最近、電話ではなく、詐欺グループが直接独居老人の家を次々に訪問し、振り込め詐欺と同じような詐欺を繰り返していることが報告されています。残念ながら今や日本全国津々浦々詐欺集団が闊歩しているのです。
多くの読者の家にも届いていると思いますが、「電子消費料金未納分請求最終通達書」等と書かれた身に覚えのないハガキが「法務省認可法人東都中央管財局」などの役所らしい名称で、あるいは裁判所や法律事務所(弁護士)を僭称した名義で大量に各家庭に送付されています。このようなハガキに驚き自分からハガキに記載された番号に電話し、裁判取り下げ期日が迫っているだとか、弁護士費用を振り込めだのと言われ、1390万円もの大金を振り込んでしまった詐欺被害者の女性の例がつい最近報道されています。
詐欺には、身元が判明しにくいプリペイド式電話が使用されています。被害者は女性が多く、50代、40代、60代、70代の順に多いとのことです。被害時間は午前10時ごろから午後2時ごろに集中しています。送金されたお金をその日のうちに下ろすためでしょう。
上田・佐久地方にも「オレオレ詐欺・振り込め詐欺」が多発しています。今年、私の事務所に3件の相談がありました。いずれも送金した後で既に銀行口座から引き出されており、警察に届けましたがお金を取り戻すことはできませんでした。  オレオレ詐欺の犯罪者も徐々にではありますが捕まるようになってきました。しかし、一度振り込んだお金を取り戻すことは容易ではありません。振り込む前に対処することが重要なのです。

被害に遭わない為に

振り込め詐欺の被害を回避するための注意点をまとめると次のようになります。

  1. 人間いきなり息子や孫が交通事故、不倫、など非日常的な事件を起こしたと聞くとパニックに陥り、冷静な判断能力を失います。このことは誰しも同じです。
    しかし、現在 振り込め詐欺が日本で横行している事実を忘れないで下さい。慌てないで一旦電話を切り、本人や家族、勤務先、警察などに電話し、最初に交通事故などが本当かどうか「事実を確かめること」が必要です。

  2. 交通事故、不倫、妊娠中絶、裁判、弁護士費用その他どんな名目であれ、 「事件や事故直後にお金を指定口座に送金する必要は全くありません」。損害賠償や示談交渉は、事実関係を明らかにしながら双方が時間を掛けて話し合い行うのです。
    事故当日に、事実も明らかでないのに送金する必要など全くありません。

  3. 相手がヤクザめいた言葉を発したり、すぐに送金しないととんでもないことになるなどと不安がらせるのが彼らの常套手段です。この場合に限りませんが、強迫や嫌がらせには毅然とした態度で臨む必要があります。1人で対処できないときは、すぐに家族や警察に相談して下さい。

  4. 振り込み詐欺に気付かず数回次々に送金を繰り返す被害者が後を絶ちません。
    仮に1回振り込んだとしても恥ずかしがらずに周囲の家族や友人に相談して下さい。

  5. 架空請求書はあなただけでなく多くの人に送られています。身に覚えのない請求書は無視しましょう。何らかの心当たりがあってもすぐに電話したり送金しないで下さい。メールやインターネットを使用した心当たりがある時でも消費者センターや弁護士に相談して下さい。支払う必要がない架空請求がほとんどです。

  6. あなた自身のクレジッドカードの番号、ID、パスワード、銀行口座の番号等の金融情報の管理に気を付けて下さい。メールやインターネットを使用し安易にこれらの情報を入力すると不正に使用される可能性があります。「フィッシング詐欺」と言って、個人の金融情報をホームページなどで巧みに盗み、あなたのクレジットカード等を不正利用する詐欺行為が世界的に広がりつつあり、警察が注意を呼びかけています。