佐藤芳嗣法律事務所

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クレ・サラ・ローン地獄 ー収入の範囲で生活をー

はじめに

大小様々な「サラ金会社」だけでなく、「クレジット会社」、「信販会社」がキャッシュ・ローン(事業者ではない一般の消費者を相手に小口の現金を貸し付けること)を盛んに実行しています。「銀行」や「カード会社」も一般消費者を対象にキャッシュ・ローンを収益の一つにしています。一昔前ならば、住宅ローンでも借りない限り一般の消費者が銀行からお金を借りることはなかったと思います。しかし、今や銀行までが一般消費者を相手に小口の融資をし、しかも「貯金したときの極端な低金利と比較すると驚くほど高利」の貸し付けをしています。「銀行よお前もか!」と文句も言いたくなる今日この頃です。このような、誰でも簡単に、しかし極めて金利の高い借金ができる時代は「どこか変」と感じるのは私だけでしょうか?私は、ローン地獄に陥る人が後を絶たない原因は、「借りてくれ。借りてくれと盛んに宣伝をする金融機関の側にもある」と思います。

クレ・サラ・ローン地

失業や病気あるいは子供の教育費その他生活のためにやむを得ない事情があって消費者金融に手を出す人がいます。他方、飲食代、パチンコ代などの遊興費や高価な宝石・バック・車を次々に購入するために消費者金融に手を出す人も大勢います。当初は返済できても、次第に負債がふくらみ、気が付いてみれば、借金の返済のためにまた借金することを繰り返すことになります。サラ金会社だけでなくカード会社や銀行までもが、消費者金融を盛んに宣伝し、誰でも簡単に借りられる現代社会では、このようなローン地獄に陥っている人は何百万人もいます。親や親戚がローン地獄を見かねて返済を肩代わりしているケースも相当数あります。しかし、ほとぼりが冷めると、借りた本人は性懲りもなくまた借りることも多く、何のために親や親戚が返済を肩代わりしたか分からなくなるケースがしばしば見られます。ですから、皆さんの廻りにローン地獄に陥っている人がいたとしても、焦って支払を肩代わりすることは本人の為になりません。また、利息制限法という法律があってそこで決められている最高金利(例えば元本が10万から100万までは年18%)を超えて支払う法律上の義務はありませんので、多額の借り入れをしている人が廻りにいても、弁護士などにどのようにしたらよいか相談してから方針を決めても遅くはありません。

破産事件の激増

1979年、今から26年前、私が上田市で弁護士をはじめた頃は、上田の裁判所に会社が破産を申し立てることはありましたが、個人(自然人)が申し立てることは極めてまれでした。しかし、残念なことに、今や年間300件前後の破産申立が上田の裁判所にあります。上田の裁判所に申し立てられる一般の民事裁判の件数は年間150件程度ですから、その倍以上の破産事件が裁判所に毎年申し立てられているのです。このため、裁判所も弁護士も破産事件の処理に追われる超多忙な日々を送っています。このような異常事態は日本全国どこでも同じです。
15年ほど前、アメリカ合衆国では個人の破産申立事件が年間50万件ほどあるということを知り、アメリカという国は何という国なんだろうと思ったことがありました。しかし、今や日本も全国で年間20万件を超える破産申立てがあり、人口比を考慮するとかつてのアメリカと同じ状況に陥っています。

救済制度としての破産・個人再生

 10年くらい前までは、破産を申し立てることについて躊躇する考え方が一般的でした。破産者になることは不名誉なことであり、恥ずかしいことであり、社会的にその存在が抹殺されることで、できれば避けたいという心理が日本人には強かったと思います。しかし、様々な理由で、債務超過(資産よりも負債が多い状態)に陥って「支払不能」な状況になった場合、個人の力ではもはやどうすることもできないことになります。この場合、借金を返すために際限なく借金を重ねるか、夜逃げするか、あるいは不幸にも自殺する人までいます。今必要とするお金が手元にない状況が毎日続く苦労は経験した人にしか分からないと思います。このような場合、破産手続という「救済制度」があります。破産手続は、支払不能な財産状態に陥った人が一から出直し、生き続けることを可能にする制度です。破産を裁判所に申し立て、免責(借金を法律上返済しなくてもよいとする制度)を得れば0から再出発できます。会社員などの普通の仕事であれば失業することもありませんし、選挙権などの公民権も剥奪されません。年金や退職金の多くも失いません。破産制度は、多重債務者(複数のサラ金会社などから支払いきれない多額の負債がある人)のための救済制度であることが広く知られ盛んに利用されるようになりました。
その人の返済能力の範囲内で、原則として3年以内で借りたお金の一部(最低100万円)を分割で返済したい人、住宅ローンがありせめて住宅だけは残したいという人などが利用できる制度として「個人再生の手続」が制度化されました。この制度も、支払不能な財産状態に陥った人を救済する為の制度です。
破産を申し立てても免責にならないケースも稀にあります。負債の多くがパチンコ代などの遊興費に使われている場合などです(但し、この場合でも免責になることがあります)。このような人が利用できる制度として、サラ金会社などを相手に簡易裁判所に調停を申し立てる「特定調停」の制度もあります。破産を申し立てるか、民事再生を利用するか、特定調停を活用するか判断が難しいケースがありますので、弁護士などの専門家に相談して下さい。各地の弁護士会や司法書士会が多重債務者のための相談窓口を設けています。また、弁護士などの専門家に依頼する費用がない人のために「法律扶助」の制度があります。これは弁護士費用や裁判費用をすぐに用意できない人のために一時裁判費用を立て替える制度です(原則として分割で返済することになります)。この制度の活用についても弁護士や司法書士に相談することができます。

収入の範囲で生活を

ローン地獄に陥ったことについて本人に責任があってもなくても、ローン地獄に陥った以上は破産や個人再生などの救済制度を活用し再出発する必要があります。しかし、できればローン地獄に陥らない方が良いに決まっています。ローン地獄に陥らないためには、真面目に仕事することはもちろんですが、収入の範囲内で生活するというごく当たり前のことを実行することが大切です。