佐藤芳嗣法律事務所

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訪問販売 ー高価な買物に気を付けましょうー

はじめに

出前とか訪問販売は日本の文化のひとつかも知れません。古くから富山の薬売りさんの行商があります。かつては家々を廻り豆腐、納豆、魚、反物などの日用品を売り歩くことを商売にしている行商の人々が大勢いました。気軽に家々を廻り生活必需品を売り歩く人々がいる文化は、労働に忙しく店に買いに行く手間のない人々(消費者)には便利でもありました。このような人々は同じ商品を継続的に人々に買ってもらう為に信用を大事にしたと思われます。
現在でも、ヤクルトやダスキンをはじめ消費者の信用を得ながら訪問販売で商品を提供している例はたくさんあります。都会を中心に新聞の訪問販売も日本では行われています。営業マンが企業や家庭を何度も訪問し人々に新しい価値ある商品を説明し普及させることもあり得ます。したがって訪問販売が全ていけないこととは言い切れない面があります。
しかし、現代社会では詐欺商法の手段のひとつとして訪問販売が多用されている現実があります。高価な価格に見合った性能、効能が無いにもかかわらず、人々の無知につけ込んだり、強引な販売方法で消費者に多額の被害を与える訪問販売が後を絶ちません。これまでお話しした詐欺商法の多くは、訪問販売を手段として行われている実態があるのです。時代により商品の中身は変化しているように思われますが、詐欺商法の手段としての訪問販売は現在も盛んに行われています。
今回は訪問販売で詐欺商法に引っかからない為にどうするか、仮に、詐欺商法に引っかかったらどうするかについてお話しします。

訪問販売の手口

詐欺商法としての訪問販売の被害者になり易いのは、昼間家に居ることが多い高齢者や主婦です。もともと迷信深かったり、人を疑うことを知らない高齢者や主婦は被害に遭い易いのです。販売員は訪問販売でその商品を売るプロです。販売員が客に働きかける言葉や販売方法にはマニュアルがあります。大勢の被害者から被害の訴えを聞いてみると同じようなパターンで被害に遭っていることが多いのです。
訪問販売で扱われている商品は食器などの日用品からはじまり数多くありますが、今回は高価な布団と浄水器を例にお話しします。
布団を市場価格とは比較にならないほどの高価格で買わされる被害者が大勢います。このような被害者は、「ある日家に居ると、突然見知らぬ人が訪ねてきた。ごく普通のセールスマンで悪い人には見えなかった。暇があったのでつい気を許し話し始めたらいつの間にか家に上がり込んで話し続けた。そのうちにお宅の布団を診断してあげますと言い出した。そして、あなたの布団にはダニの巣がいっぱいある。目に見えないカビもついている。このままでは健康を害しあなたの命も危ないです。健康はお金には変えられません。今、キャンペーン中なのであなたには特別にお安くしておきます。ローンで買いましょう。と言われつい買ってしまった。」と話します。
最近、話題になっている20万円から40万円する浄水器(活水器と呼ぶ業者もあります)の購入者は次のように被害を訴えています。「家に見知らぬ人が突然訪ねてきた。作業服を着ていたので水道局の人に見えた。その人は水の点検に来たと言ったのでつい水道局関係の人だと思って家に上げてしまった。その人は蛇口のところに行きコップに水を入れ薬を入れたら水が黄色くなった(これは水道水に含まれる残留塩素が試薬に反応するだけのことです)。水道水には有害物質が含まれています。こんな水道水を毎日飲んでいたら体に悪いです。こんな水を毎日家族に飲ませてよいのですか。浄水器を付ければ大丈夫ですと言って勝手に浄水器を取り付けた。そして、再度コップに水を入れ薬を入れたが今度は水が黄色くならなかった。最初は浄水器はいらないと断っていたが、根負けして40万円近くで浄水器を買う契約をしてしまった。」

被害に遭わない為にどうするか

見知らぬ人を家に上げてはいけません。訪問販売に限らず、現代社会は見知らぬ人を家に上げてよい時代ではないのです。残念ではありますが昔と違って見ず知らずの他人を家に上げたための悲劇(犯罪被害など)は現実に多発しています。相手は訪問販売のプロなのです。先物取引その他多くの詐欺商法の被害者は、勧誘員に気を許して話し始め、不用意に相手を家に上げてしまいます。ここで勝負がついてしまうことが多いのです。彼らはプロとして信じやすい人には言葉巧みに、気が弱く態度のはっきりしない人には強引な手口で契約に持って行くのです。
訪問販売で高価な商品の購入を勧誘されてもはっきりした態度で断ることが必要です。曖昧な態度はいけません。これは電話での勧誘にも言えます。理由を告げることは必要ないのです。買わない。必要ない。忙しい。お金がないの一言でよいのです。話しを聞かないと相手に悪いなどと思わないでください。相手はいきなり家を訪問し高価な物品を買わせようとたくらんでいるのです。話しを聞かなくてもこちらが悪いわけではありません。断るのに長々と理由をいう必要はないのです。毅然たる態度ではっきり断る必要があります。曖昧な態度では相手につけ込まれるのです。
訪問販売の被害者の多くは1人で契約を決め、事前に家族や友人に相談しませんし相談の時間を与えられません。あなたの知識不足、経験不足、信じ易さ、不安感を最大限利用し、冷静な判断をあなたにさせないで契約に持ち込む、それがプロとしての相手のやり方です。したがって、被害に遭わないためには急いで契約しないで家族や友人の意見を十分聞いてからにする必要があります。

被害に遭ったらどうするか

布団や浄水器を既に受け取り使用したとしても、契約から8日以内あるいは法定の書面を業者から受領してから8日以内ならば無条件に契約の解除ができます。この制度をクーリング・オフと言います。この場合、契約を解除したことを証明するため、書面(通常は内容証明)で業者に解除を通知します。
クーリング・オフの期間が経過した場合でも、業者が事実と違うことを言ってあなたがその事実を信じて契約した場合などに契約の解除ができる場合があります。訪問販売の被害に遭ったと気づいたら消費者センターや弁護士に相談してください。訪問販売で時価を大幅に上回る価格の商品を購入しないことが一番ですが、事後的に救済できる場合もありますのであきらめないことも必要です。