佐藤芳嗣法律事務所

〒386-0023 長野県上田市中央西1丁目7-2
TEL (0268)27-9349

事務所のご案内

立候補にあたって

はじめに

平成13年度の長野県弁護士会の会長選挙に立候補した佐藤芳嗣です。私は31期です。  私は、司法研修所を卒業した昭和54年(1979年)以降、上田市で弁護士業務に従事してきました(弁護士1人の事務所)。弁護士になり22年が過ぎようとしていますが、この間大勢の先輩弁護士や同僚弁護士に助けられ、また、地域の人々に支えられ、非力ではありますが弁護士の仕事をしてきました。私の仕事の内容や生活については、一昨年、関弁連発行の「ひまわり」(弁護士奮闘記-その仕事とくらし-)に「小さな地方都市の弁護士の仕事と生活」と題して、かなり詳細に書きましたので、お手元に前記「ひまわり」が残っておりましたらお読みいただければ幸いです。なお、会務歴その他の履歴関係を末尾に記載しましたので参考にしていただければと思います。

弁護士としての基本姿勢について

私が上田市で開業した当時上田市の最年長弁護士は植松博一郎弁護士でした。先生は明治生まれであり私の祖父の世代にあたります。先生は私が弁護士になった昭和54年頃には第一線を退こうとしている時期であり、仕事のうえで直接先生から教えを受けたことはありません。しかし、植松先生は例年上田・佐久在住会の新年会に出席され、我々後輩弁護士に対し、同じことを繰り返し述べられました。その内容は、概略次のようなものでした。  「弁護士は一人ひとりが『一国一城の主』であり、『独立不覊』な存在である。弁護士は法曹三者の中では最も市民と直に接し『世道人心』を導くことを使命とする職業である。弁護士は常に勉学を怠らず、人間を磨き、一つひとつの事件を誠実に処理しなければならない。」  私は、植松先生の弁護士としての誇り高き気概に感服し、今日でも先生の上記言葉を思い出しながら、時には息切れしそうになりながらも弁護士業務を続けてきました。私は、植松先生が繰り返し我々後輩に述べられた上記の言葉の中に、弁護士が世代を超えて堅持すべき弁護士としての基本姿勢が端的に示されていると信じております(植松先生については、長野県弁護士会報第21号69頁以下を参照ください。先生は旧制中学を卒業した後代用教員をしながら独学で法律を勉強され弁護士になられた方です)。

会務にあたっての基本姿勢

 昭和24年(1949年)に、我々の先輩である弁護士自身が素案を作成した現行の弁護士法は、第1条で有名な「人権の擁護と社会正義の実現」を「弁護士の使命」とする規定をおきました。そして現行の弁護士法は弁護士自治を認めたうえで、弁護士会の目的について第31条で規定しています。私の理解では、弁護士会は、個々の弁護士が第1条に示された「弁護士の使命」を十分果たせるように、弁護士自治を堅持し、個々の弁護士ではなし得ない各種の条件整備をすることに第一義的な責務があります。
私はこのことを念頭に置き会務を誠実に遂行していきたいと思います。

司法改革の必要性について

現行憲法の下で現在の司法制度が確立しましたが、制度ができた当初から民主的な司法制度の確立が不徹底であったり(法曹一元制度や陪審・参審制度などの不採用)、半世紀の時を経て司法制度が経済社会の変化に十分対応できず、司法制度を利用して正当な権利が擁護されるべき市民の期待に司法が応えられていない現象が多くの分野で見られます。これは、破産事件、各種の消費者事件、外国人問題、子供への虐待など近年急増している事件だけでなく、従前から存在する民事、刑事、労働、行政その他の事件についても司法が本来期待される機能を十分果たしていないところが多々あります。
また、日本の司法制度は戦後著しく発達した国際人権法の水準すなわち国際基準からすると、非民主的な要素を多分に含んでおり(例えば代用監獄)、民主的な改革の必要性を否定できません。問題は司法改革の方向性と中身だと思います。

   

司法制度改革審議会(以下、「審議会」と言います)の中間報告について

  1. はじめに

    審議会が、日本国憲法が規定する「国民主権」、「基本的人権の保障」の理念を真に実現する為に、「自律した個人の参画に基礎をおく」、「自由で公正な社会の実現」を目指し、「法の支配」が貫徹するような司法制度改革に向け、精力的に審議を重ね、昨年12月18日に中間報告を公表したことは評価しています。審議内容の公開と中間報告の発表は、そのこと自体民主主義を支える情報公開の実践だからです。

  2. 司法改革の基本理念について

    中間報告は、司法改革を政治改革、行政改革、規制緩和などの経済構造改革の「最後のかなめ」と位置付け、規制緩和された「市場経済」を無批判に是認し、司法の場にも「市場原理」を導入するように理解できます。しかし、このような基本理念の是非そのものについても議論する必要があると考えます。
    私は、経済構造改革は否応なく進展すると思います。市場原理があらゆる場面で進行していく中で人間としての当然の権利(人権)が奪われていく人々が大量に発生することは不可避です。そのような人々の権利を司法はいかにして迅速に救済するのかが司法改革の基本的な視点でなければならないと思います。

  3. 3法曹養成と法曹人口について

    中間報告は、「自律した個人を基礎とした社会」、「各種規制が撤廃された社会」にあっては司法の役割が増大するとし、法曹人口の拡充・強化を司法改革の大きな柱に据えています。そして、できるだけ早期に年間3000人程度の新規法曹を確保するとし、新たな法曹養成制度として「法科大学院」(ロースクール)構想を提案しています。
    新規の法曹人口3000人程度と法科大学院構想および司法試験制度の見直しはセットで提案されています。
    この中間報告の提言どおり新規法曹3000人を2007年度から実施すると仮定すると、現在の法曹人口約2万人が2012年には2倍の約4万人、2020年には3倍の約6万人、2037年には約10万人、2046年以降は約12万人になると予測され、その大部分が弁護士ということになります。
    現在わが国で仕事している司法書士は約1万7000人、税理士は約6万3000人、行政書士は約3万5000人、社会保険労務士は約2万5000人です。この数を合計すると約14万人になります。
    中間報告は、弁護士を「社会生活上の医師」と位置付け、より広く社会の様々な分野で活動することが期待されるとしています。しかし、何故3000名かの根拠については合理的な説明をしていません。少子高齢化が今後進展する日本において、上記のとおり急激に増加する法曹人口を日本社会が経済的に支えられるのか客観的なデータに基づき検討する必要があります。
    また、「法科大学院(ロースクール)」などの法曹養成制度の新設と司法試験制度の見直しは先ほど紹介した植松先生のように独学で法律を勉強する人が法曹界に入ることを阻止する可能性があります。ロースクール構想を弁護士会が推進する以上は弁護士会は奨学金制度の充実や通信制の法科大学院の設立に責任を負わなければならないと思います。

  4. 4その他中間報告の問題点

    (一)中間報告は新規法曹については年間3000人程度と数字を上げて記載しながら、人員不足が明らかな裁判官や検察官の増員については大幅増員の必要性を指摘するにとどまっています。裁判官や検察官の大幅増員のためには国民や弁護士会の強力な運動を必要とします。

    (二)従来から日弁連が強く主張してきた法曹一元制度や陪審制度導入についても中間報告は不明朗な提言しかしていません。実際にこれらの制度が近い将来わが国の司法制度に導入されるか否か不透明であり、国民や弁護士会の強力な運動がない限り実現することはできない状況にあります。

    (三)中間報告は、弁護士会について「公共的役割を深く自覚」することが期待されると記載しています。私は、弁護士は弁護士法第1条が規定する使命を果たす事により社会に貢献し、公共的役割を担うものであると考えます。国その他の巨大な組織が「弁護士は公共的役割を深く自覚せよ」と殊更述べることは弁護士の職業的自由を奪いかねないと思います。

弁護士会の今後の活動について

  1. 司法改革への取り組み

    司法改革の必要性とその中身について、長野県弁護士会内はもとより、税理士会、司法書士会など現在進行している「司法改革」により重大な影響を受ける隣接職業団体および司法制度を利用する市民、企業、各種団体などと長野県弁護士会として議論し、真に望ましい司法改革を市民と共に担っていく必要があります。長野県弁護士会は、既に「地域司法計画の作成」に取り組み始めました。地域司法計画を作成する中で長野県内の司法の現状や問題点を冷静に調査分析し、裁判官不足や検察官不足を含め改革すべき司法制度の中身について事実の裏付けをもって各界に訴えていきたいと思います。
    その際、われわれ弁護士が市民のニーズに応え期待される役割を果たしているかについても冷静に調査分析しなければならないと思います。

  2. 研修制度の充実、会館の有効利用

    個々の弁護士が弁護士法第1条が規定する社会的役割を果たすためには研修制度の充実強化が不可欠です。また、是非はともかく今後長野県内においても弁護士が急増することは避けられず、競争は激化します。個々の弁護士が自ら力を付け新たな職域を拡大していく努力をしなければならないと思います。弁護士会は組織的、系統的な研修制度を確立し、各弁護士が新しい分野においても仕事ができる態勢作りをしなければならないと考えます。
    また、弁護士会館を有効利用する一環として、会員相互の自主的な勉強会、場合によっては弁護士以外の人々との共同の勉強会などを弁護士会館を使用してできるような体制作りを検討したいと思います。

  3. 3委員会活動

    言うまでもなく弁護士会の各種活動は委員会を中心に行われてきました。弁護士会として引き続き各委員会の活発な活動を支えなければならないと思います。

  4. 4将来の検討課題

    会費納入が免除される年齢は現在は80歳、来年度から77歳以上になる予定です。この年齢は会館建設の特別負担金に連動しています。
    弁護士会の財政状況と密接な関係がありますが、少なくはない額について77歳まで会費納入が免除されないということは世間常識からかけ離れています。私は将来的には70歳以上は会費納入の減免が望ましいと考えています。

  5. 簡単ではありますが、立候補にあたり以上のとおり所信を述べさせていただき、会員の皆様のご支援、ご協力をお願いする次第です。
    平成13年度長野県弁護士会会長選挙「選挙公報」より

簡単ではありますが、立候補にあたり以上のとおり所信を述べさせていただき、会員の皆様のご支援、ご協力をお願いする次第です。(平成13年度長野県弁護士会会長選挙「選挙公報」より)

   

経歴、会務歴等

【弁護士会関係】
昭和54年(1979年) 上田市で佐藤法律事務所開設
昭和55年度(1980年) 長野県弁護士会常議員
昭和63年度(1988年) 長野県弁護士会副会長
平成2年度(1990年) 長野県弁護士会常議員
平成4年(1992年)4月 同人権擁護委員会委員長
同年から平成10年4月まで 日本弁護士連合会人権擁護委員(6年間国際人権部会所属)
平成5年度(1993年) 日弁連第36回人権擁護大会 第1分科会実行委員会委員
(日本の戦後補償-戦争における人権侵害の回復を求めて-)
平成10年度(1998年) 関東弁護士連合会シンポジウム委員会委員
(子どもへの虐待-その予防と救済のための提言)
【その他】
平成5年(1993年)以降 長野大学非常勤講師
(「人権と国際社会」の講座担当)
平成8年(1996年)から4年間 長野県麻薬中毒審査会委員
平成9年(1997年)以降 社会福祉法人りんどうの会理事
(精神薄弱者更生施設、グループホームなど設置経営)
平成11年(1999年) 上田市情報公開懇話会委員
平成12年(2000年) 上田市情報公開・個人情報保護審査委員
同年 立科町公文書公開審査会委員